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【VIP】できる限りのことをしようと思った


できる限りのことをしようと思った

1 :◆rjdp04JI5k :2006/08/03(木) 04:37:28.29 ID:AObGhq+u0
親友が【死んでくる】とかメールしてきたからさ、
どうしようかと思ってとりあえず【俺も呼んでくれよ】って。
そしたら今たまに俺も行くマンションの屋上にいるって言うの。
今から行くわっつって、メール切って、自転車で向かう途中に電話したのね。

俺『もしもーし、生きてる?』
友『半分生きて、半分死んでる』
俺『シュレディンガーかよ』
友『よく知ってるな』

別に自殺するなんてことが本気だとは考えてなかった。
でも後悔してからじゃ遅いから、できる限りのことをしようと思った。



2 :◆rjdp04JI5k :2006/08/03(木) 04:38:21.72 ID:AObGhq+u0
俺『あ、マンション見えてきた』
友『……早いな』
俺『屋上にいるんだろ? 手ぇ振ってみてくれよ』
友『いや、普通に怖いしwww』

屋上に着くまでずっと切らずに電話で話し続けた。
他愛も無い話題を面白おかしく話す俺に、いつものように接する親友。
しかし、どこか、何かが違って感じられた。急がなくてはと思った。

俺『もうすぐ着くんで歓迎よろしくー』
友『最高の歓迎してやるよw』
俺『まじ? 場合によっちゃぶっ殺すからな』
友『きゃー、こわーい』』
6 :◆rjdp04JI5k :2006/08/03(木) 04:41:34.96 ID:AObGhq+u0
エレベーターで最上階まで上がり、屋上への階段を駆け上がった。
屋上への侵入を阻む鉄の扉には鍵がかかっているがそれを乗り越える。
それほど広くない屋上だ。彼の姿はすぐに目に飛び込んだ。

右手に握った携帯を耳に当てる。

俺『もしもーし、見える? 俺俺』
友『詐欺?』
俺『振り込んでください』
友『何をww』
俺『あなたの心です』
友『ふ……ふはははははは!!!!』
俺『ムスカ笑いやめろw』

お互いの声が聞こえるほど近かったのに、僕は扉を
乗り越えたところで立ち止まったまま、彼と電話で話し続けた。
彼は屋上の隅におり、3歩あれば飛べる場所にいた。



7 :◆rjdp04JI5k :2006/08/03(木) 04:44:29.42 ID:AObGhq+u0
西日がアスファルトをオレンジに染めている。
会話がしばらく止まっていると、彼の顔の付近で何かが反射した。

俺『何泣いてんの』
友『……ごめん』
俺『もっと謝れ』
友『ははw』

再び会話が止まる。
彼は西日を浴びながらじっと動かずに左手で携帯を持ち、町を見下ろしていた。
眼鏡を忘れてよくは見えなかったが、時折、彼の顔付近で涙が反射してキラキラ光っていた。
そして、俺が彼の“右手に持つ何か”に気付いたのも、それが光に反射していたからだった。

包丁。

形からして、それはナイフでもカッターでもなく、一般家庭の台所にあるような調理包丁。
飛び降り自殺に刃物はいらないだろ……落ちながら手首切るの? 自殺しながら自殺?


8 :◆rjdp04JI5k :2006/08/03(木) 04:46:33.81 ID:AObGhq+u0
俺『あーそういえばさ、なんで死ぬの? 寿命?』
友『……』
俺『ったく、なんかあったのか? 話せよ、楽になるぞ、多分』

心当たりが無いわけではなかったが、直接その内容に触れるのはまずいと思った。

友『したかった……何かしたかったな、俺。アレとかさ、アレとか』
俺『アレじゃわかんねーよ』
友『だろうな』
俺『ああ』


9 :◆rjdp04JI5k :2006/08/03(木) 04:50:56.29 ID:AObGhq+u0
沈黙が続く。もう日が地平線に落ち始めていた。

このまま何もしないわけにはいかない。向こうが行動を起こす前に、決着を着けよう。
片手で携帯を耳に当てたまま、少しずつ、少しずつ、気付かれないように、俺は彼に近づく。
最初の距離の半分になった頃、ついに彼は僕との間隔が狭まっていることに気が付いた。

友『近寄るな』
俺『ほぇ? なんで?』

すっとんきょんにとぼける。しかし、刺激しないようにと慎重になるのはもうやめだ。


10 :◆rjdp04JI5k :2006/08/03(木) 04:54:03.45 ID:AObGhq+u0
友『頼むよ……』
俺『親友の頼みとなりゃ断るわけにはいかねえな』

ダメだよ、怖い。他にもっといい選択肢無いのか? 帰ったらどうなる? あいつ死ぬかな?
勝手に死ねよ。何も言わねえで。バカヤロウ。ほんとまじこいつ殺してえよ。ぶっ殺す。

友『さすが、話が分かる』
俺『長年の付き合いだからなwwwwwww

        だ が 断 る 』
友『……』

きらきら光る。反射したのは涙? それとも包丁?

携帯を持ち直す。こんな至近距離で一体何分間話してたのだろう。請求料金が怖い。

俺『もしもし? 約束通りぶっ殺すから。じゃ、またな』

ポチッ、ツーツー……

汗ばむ手を拭いて、大袈裟に深呼吸をして、走り出すよ、君の方へ。


11 :◆rjdp04JI5k :2006/08/03(木) 04:57:17.40 ID:AObGhq+u0
俺は親友に向かい突進して片手に持った携帯電話で殴りかかった。
彼の右手が僕の胸の辺りに狙いを定める。殺したいのは自分じゃなくてもいいんですね。
視界が揺れて、思い出が滲んでかすれる。 ――これで終わり

意識が飛び、足元がおぼつかなくなり豪快に転んだのか。脳が揺れる。全身に痛みが走る。

14 :◆rjdp04JI5k :2006/08/03(木) 04:58:57.58 ID:AObGhq+u0
包丁は左腕をかすめ、右ストレートは避けられ、僕はアスファルトに倒れこんだ。
意外と冷静だ。そうだ、気絶したふりをして奴がどう反応するかを見よう。
うつぶせに倒れたまま薄目を開くと、彼は少し離れたところで呆然と立ち尽くしていた。

いきなり突進してきた親友に包丁を向けた。それだけで動揺するくせに自殺なんて到底無理。
こいつは一時的な混乱状態にいるだけだ。時間を置いて落ち着いていないから衝動的にこんなことを……。

彼の足元に俺の携帯が転がっていた。倒れた拍子に手から滑り落ちたのか。

――ガガガガガ、ガガガガガ

震える携帯、バイブが地面とこすれている。あれって俺の携帯だよね。こんなときにメール?
彼の反応を見ようと薄目を開き、見上げると、普通に目が合った。なんでこっち見てるの?
16 :◆rjdp04JI5k :2006/08/03(木) 05:01:43.96 ID:AObGhq+u0
見つめ合うと素直におしゃべりできない。

――ガガガガガ、ガガガガガ

なんだろうこの状況、と回顧している中、俺は大変なことに気づく。
彼は左手で携帯を持ち耳に当てているではないか。

え、なんで? なんで俺の携帯に電話してんの? 目の前で倒れてるふりしてるじゃん。

数秒して俺はゆっくり起き上がろうとしたが腰を強く打ったようで、
痛くて立てないってほどじゃないが立ちたくなくなったから匍匐全身で
彼の足元まで這い、携帯を拾い上げ、通話ボタンを押した。

『もしもし?』

20 :◆rjdp04JI5k :2006/08/03(木) 05:03:54.99 ID:AObGhq+u0
俺『もしもし?』
友『右を見ろ』
黙って俺は右を見る。マンションの屋上、アスファルト、どこか寂しい。
友『左を見ろ』
素直に従って左を見る。夕陽に染まる町並み。夕暮れはもっと寂しい。
友『下を見ろ』
そのまま下を見る。
友『右を見ろ、そして上だ』
右ね……んで、上……と。

友『ばーか』
俺『……は、ははw 便所の落書きかよwww』

俺は笑った。彼も笑った。カンカラン。包丁が落ちた。


21 :◆rjdp04JI5k :2006/08/03(木) 05:05:35.56 ID:AObGhq+u0
たくさんのことを話し合った。彼が片想いしていた女の子が中絶していただとか、その他諸々のことが
短い期間に重なって起こり、精神的に参っていたそうだ。そして全てを曝け出して気分が優れたと。

俺「できる限りのことはするからさ、話聞くだけでもできるから、なんかあったら言えよ」
友「ありがと。お前もな」
俺「あいあい。んじゃ帰るぞ。もうすっかり暗くなっちまった」
友「ああ、だがちょっと待ってほしい」
俺「へ?」
24 :◆rjdp04JI5k :2006/08/03(木) 05:08:50.35 ID:AObGhq+u0
「だがちょっと待ってほしい」

彼はそう言うと屋上の低い縁に上がり、深呼吸をするように両手を広げ、遥か上空を見上げた。

俺「おい、危ねえぞ」

友「背中をそっと押してくれ」

俺「……」


できる限りのことをした。それでもダメなら、しょうがないじゃないか。
俺じゃ彼を救えなかった。ならば俺が彼のためにしてあげられることは……。

できる限りのことをしようと思った。


       トンッ


―終わり―
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/03(木) 05:10:38.30 ID:SBYX21oKO
やべぇ

イイ(・∀・)
38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/03(木) 05:16:19.54 ID:bZH0yUYRO
イイネ!

でも最後の話してから背中押すまでに、俺、の心中がもーちょいみたかったような。。

しかし好きだ。

他ネタないん?
41 :◆rjdp04JI5k :2006/08/03(木) 05:17:50.26 ID:AObGhq+u0
あぅ……もちろんフィクションです。
「今から死ぬ」的なメールをもらうことってあるよね?
俺は2回くらい友達から来たけど、一人は冗談混じりで軽く返信したら
なんともなくて、もう一人は理由を知っていたので心配メール返したら
なんか次の日本当に死んじゃって^^ 

色々考えるんです。もしかしたら、あの時、~たら、~れば。って。




なんとなく心に残ったのでうpしてみますた。

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2006年08月03日 | Comments(2) | Trackback(1) | VIP
コメント
すげぇ・・・
ひきこまれた
AKARU URL 2006年08月03日 09:56:52 編集
凄く泣けたり、笑えたりする内容じゃないけど
心に残る
ツァ URL 2006年08月03日 12:38:18 編集

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【VIP】できる限りのことをしようと思ったあのときこうしていたら。あのときああしていれば。たら、れば。思うことはたくさん。でも、もう過ぎ去ってしまったこと。みなみんも、「あのとき、家にいれば」って。そしたら。そしたら、もっと違っていたのかな。お父さんは、「
みなみんぶろぐ 2006年08月03日 22:23:42

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